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会長挨拶

2023年度会長就任挨拶
-社会変革のとき,日本ガスタービン学会はいかにあるべきか?-

Message from the President
- How GTSJ Will Be in Times of Social Reformation -

山本 誠
山本 誠
YAMAMOTO Makoto

 この度,福泉靖史前会長を引き継いで2023年度の日本ガスタービン学会会長に就任しました山本誠です。本会は公益社団法人であり,社会に大きく貢献することが求められる組織ですので,その責務の重さに身の引き締まる思いを抱いています。会員の皆様とともに,本会の発展,ガスタービンおよびエネルギー関連技術の進歩に少しでも貢献できればと思いますので,ご支援・ご協力のほど,何卒よろしくお願い申し上げます。

 本会は昨年度に創立50周年を迎え,2022年11月8日に東京大学・武田ホールにおいて記念式典と記念講演会が盛会のうちに開催されました。また,日本ガスタービン学会誌の2023年1月号および3月号において日本ガスタービン学会創立50周年記念特集(前編・後編)が組まれ,これまでの本会の歩みやガスタービン技術の進歩が詳しく紹介されました。これらの記念行事や特集を通じ,会員の皆様は,ガスタービンおよびエネルギー関連技術が過去50年間に長足の進歩を遂げて社会を支える基幹技術として確立したこと,さらに将来に向けて弛まぬ努力が続けられていることを実感されたことと思います。記念式典や記念行事等の企画・運営にご尽力いただいた福泉前会長を始めとする多くの委員の方々に改めて感謝の意を表したいと思います。

 さて,現在,社会は大きな変革のときを迎えています。地球温暖化対策として脱炭素社会の確立,Society5.0のような情報化社会の実現など,これまでの社会を一変させるような取組が急速に進められています。これらの社会変革に際して,科学技術が主要な役割を果たすことは自明であり,ガスタービンおよびエネルギー関連技術にも一層の技術革新が求められています。水素,アンモニア,バイオ由来油といった脱炭素・持続可能燃料の使用とサプライチェーンの構築,再生可能エネルギーとの共存,航空機の電動化など,すでに多くの取組が進められていることは会員の皆様には周知のことかと思います。最近話題になっている会話型人工知能も,技術や人材育成・教育を大きく変える可能性を有しています。ガスタービン関連業界が持続的に発展し,本会が創立100周年を迎えられるか否かは,今後20年(?)の技術革新や人材育成に依存しているのではないでしょうか。その意味で,会員の皆様,特に若手技術者の一層の奮励努力が必要であり,本会はそれを強力にサポートすることが重要な使命であろうと考えています。

 一方,本会の会員数はコロナ前に比べて,約200名減少しました。多くの学協会が会員数を30%程度減らしていることを考えると,本会は健闘していると言えますが,会員の平均年齢は51.7歳と高齢化が進んでおり,20歳代の若手会員の減少は惨憺たる状況です。残念ながら,若手技術者にとって会費を払うだけの価値や魅力がないとみなされています。情報の入手方法がインターネット一辺倒になり,人的なネットワーク作り(飲み会?)に積極的でない若手の行動傾向を踏まえると,将来の技術革新を担うべき若手技術者にとって価値の明確な魅力のある新たな学会活動が求められています。若手技術者を本会に引き寄せ,新たな価値や魅力を提供し,ガスタービンおよびエネルギー関連業界で将来活躍できる人材に育成していくサポートをすることが本会の喫緊の課題と言えるでしょう。

 最後に,会員の皆様のご健勝と益々のご活躍を祈念して,会長就任の挨拶とさせていただきます。