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会長挨拶

2025年度会長就任挨拶

Message from the President

西澤 敏雄
西澤 敏雄
NISHIZAWA Toshio

 この度、輪島善彦前会長を引き継ぎ2025年度の日本ガスタービン学会会長に就任いたしました西澤敏雄です。伝統ある日本ガスタービン学会の会長を拝命したことは誠に光栄でありますとともに、その責務の重さを感じております。

 私が本会の活動に最初に参加しましたのは五反田「ゆうぽうと」で開催された1987年国際ガスタービン会議東京大会でした。大学時代の恩師からの誘いもあり、実行委員会の下で開催準備の一端を担う機会を得ました。国内だけでなく海外からもできる限り多く会する場とすべく、委員の皆さんが夜遅くまで議論・作業を進められていたことを鮮明に覚えております。この国際会議も一昨年11月に開催されたIGTC2023 Kyotoで13回目となりました。かつては海外からの論文発表は全体の約3分の1、参加者数は全体の約5分の1という時代もありましたが、前回大会では総講演数の増加だけでなく海外の発表が約7割に達し、参加者数も約500名の半数近くが海外からという、まさに大盛況の会議となりました。コロナの影響がまだ心配された中での開催でしたが、IGTCがガスタービン及びエネルギー関連技術分野における国際的な拠点のひとつとして広く認知・支持されるレベルにまで発展したと言えるのではないでしょうか。ご尽力いただいた歴代の関係者の皆様に改めて感謝の意を表します。

 本会は2022年に創立50周年を迎え、同年11月に記念式典や記念講演会を開催するとともに、翌年の学会誌には創立50周年記念特集が組まれ、本会の歩み、ガスタービン技術の進歩と今後の展望が示されたことは会員の皆様もご記憶に新しいことと思います。一方、歴代の会長も触れられていたように、本会は会員数の急な減少という課題を抱えており、特に若手会員や学生会員の減少は深刻な状況が続いています。日本の大学には現在、ガスタービンを教育の中心に掲げる研究室が徐々に減少しており、これらの課題を解消していくためには、関連分野の裾野を広げる活動も含め努力を続けていく必要があると思われます。本会としても、学術講演会、セミナー、見学会等の行事に加え、若手技術者交流会やガスタービン学生フォーラムなど、歴代の理事や委員の方々が議論・工夫した取り組みが進められています。教育シンポジウムの教材となる「ガスタービン工学」は改訂版が発行され、オープンアクセスの電子版英文ジャーナルJGPPは今では年数回の発行回数に至っています。また新たに、学生会員数の増強を図るべく学生会員の入会金・年会費を無料とすることを理事会で決定いたしました。国際会議については、来夏の8年ぶりの国内開催に向けてACGT実行委員会を、2027年秋に開催すべくIGTC準備委員会を組織し、それぞれ準備を始めます。

 2050年カーボンニュートラル宣言以降、発電用GTでも航空機エンジンでも脱炭素の方向を向いた研究開発が加速的に進められ、再生エネルギー活用、水素・SAF(持続可能な航空燃料)利用、電動化など、政府施策や成果報告を目にする機会が大幅に増えました。しかし、新しいエネルギーシステムが世界の社会インフラを変えるまでの道のりはまだ長く、エネルギー密度の大きいガスタービンや航空機エンジンなどの内燃機関が今後も果たす重要性が再認識されていると思われます。また、これらを開発できる国は世界を見渡しても多くはなく、そのような産業基盤と技術的優位性を日本が有している点は極めて重要です。本会がガスタービン及びエネルギー関連技術の情報交換のみならず、異分野・新分野との連携を広げる足掛かりとなり、若手・学生の育成・教育を進める場となるよう、微力ではありますが魅力ある学会活動を進めてまいりたいと存じます。会員の皆様のご支援ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 最後に、会員の皆様のご健勝とご活躍を祈念して、会長の挨拶とさせて頂きます。